『The Indifference Engine』を読んでみた

以前に呼んだ『虐殺器官』が面白かったので購入。

 

前回も感じたことだけど、この本もSFにカテゴライズするべきなのかなぁ?ということ。

「じゃぁ何?」と問われると、ボキャブラリの貧困な私には難しいけど。

 

 

興味深かったのは、人間(キャラクタのこと)を物理的に捉えていること。

死に対する概念が、読み手の私が抱いているものと違っている。

物語の中で「死」が出てくると、その場面における感情が表現されていることが多いけれど、この本というか伊藤計劃さんの作品では、それが感じられない。

だからこそタイトルが「The Indifference Engine」なのかも知れないけど。

 

この人間を物理的に捉えた表現は、森博嗣さんの「スカイ・クロラ シリーズ」「Wシリーズ」「M&Rシリーズ」に少しだけ通じるところを感じた。

そもそも人間の定義って何だろう?と思わせる表現に多く出会ったから。

 

脳の記憶や思考が電気回路なのならば、近い将来コピーが可能になる時代が必ず来ると思う。

現在はまだ確立されていないであろうから(希望的観測)SFとして分類することが可能なのだろうけど、これが現実となった時に問題となるのが人間の定義なのかなと。

 

「記憶や思考が出来なくなった肉体は人間ではない」と安直に考えてしまうけど、それって「この食卓にあるアジの開きは魚じゃない」と言っているのと同義になってしまうのであって、この辺が現在の人間の弱さじゃないかなと思う。

 

だから、人間を物理的に捉えることの意味について、あらためて考えてみようと感じた一冊だった。