『円高・デフレが日本を救う』を読んでみた
先日の『リフレはヤバい』を読んでみたに続いて、同じ著者の2冊目。
やっぱり、最初(ほぼ前半部分)は、「何言ってるのかなぁ・・・」と言った内容だった。
ただ、前回読んだ本で、著者の言いたいことは何となく理解できていたこともあったので、後半部分は「なるほどぉ!」と考えさせられる部分も多かった。
もしかしたら、ワタシは騙されているのだろうか?と、自分で自分をツッコミたくなるのだけど、吉崎さん・広木さんあたりから名前が出てくるぐらいだから、あながち(誤用)賛同できる部分があってもいいのでは?とも思う。
根底にある考え方は「リフレ~」とほぼ同じ。
いくつか面白い(あぁ、そうだよねと思ったところ)は次のとおり(ネタバレ注意!)。
・国の借金を否定するものではないが質が悪い。
・質の高い労働力が不足している(イノベーションを起こせる人材がいない)
・景気対策は既得権益を守ってしまうので、新陳代謝によるスパイラルアップが望めない
・日本は成熟経済なのだから、フローからストックの活用に移行すべき。
・国が景気対策を行ってもフローを生み出すだけで、国力となる投資を生み出す能力がないので一時しのぎの効果しかなく無駄である。
・現在の日本の雇用形態を抜本的に変革することで、フレキシブルな社会を生み出すことが必要(正規・非正規の区別をなくす。どちらかと言えばすべて非正規にする)
・通貨の変動に惑わされてはダメ。柔軟に対応できる企業が強い。
・利益は円換算で計るのは大きな間違い。
・フロー重視では、新興国との競争になるので絶対に勝てない。だから、輸出は知的財産や技術などのモノ以外にするべき。
・商品開発はその土地・地域のニーズに合わせるべき。その上で日本ブランドを活用する。日本で作ることが日本ブランドなのではない(アップルとシャープの対比)
この本を読んでみて思ったのは、有権者がアホであるという認識が抜けいてるということ。
この本の主張を実現するためには、強力なリーダーシップが必要になるけれども、2017の都議選のように、ブームで都ファが躍進してしまうような有権者では、そもそもまともな政治家を選択できないので、強力なリーダーシップを発揮できる政治家を選べないというジレンマがあるはず。
この視点から見れば、現在取られている政策は、この辺を加味したうえでの政策であって、理想とはかけ離れたものであるのだろうけど、仕方なしに選択しているとも考えられる。
だけど、理想は理想として認めることで、新たな議論の素地にもなるのだから、小幡さんの主張を切り捨ててしまうのは、もったいないなというのが読後の感想。