夏休み7日目
今日こそ帰途につかねば!
そう決めてはいるものの、最悪でもあさっての日曜日には家についていればいいので、そんなに緊迫感はない。
朝食はよくあるバイキング。最近のビジネスホテルの朝食って競争が激しいのか、どこも充実していてありがたい。ここのホテルも十分な品揃え。
チェックアウト後、車に荷物を積んでから、レンタサイクルを借りに。
4時間で電動アシストが1000円だった。
奈良って坂が多いからアシスト付きじゃないとしんどい。
興福寺
営業所でもらった地図を頼りに春日大社方面へ。
なんとなくゆるやかな坂が続く。
右手に猿沢池。なぜか干上がっていた。もう少し坂を登って”興福寺”へ。
立派な五重塔。
宗教には興味がないけど、建築物には興味があるのでしげしげと見学。
ポスターによると、日程的にタイミングが良ければ阿修羅像が見られたよう。これは非常に残念。
春日大社
いよいよ春日大社へ。
たくさんの人が参道を歩いている。
言葉を聞くと、そのほぼすべての人が中国人みたい。
日本人の会話は全然聞こえてこない。
まぁ、日本人って他の人に聞こえるほどの大きな声で話をすることがないからかもしれないけど。
駐輪場に自転車を置いて徒歩で本殿を目指す。
受付で参拝料を支払うと、もうすぐ係りの人による境内の案内があるとのこと。せっかくなので、説明を受けることにする。
頭に藤の冠を載せた巫女さん?を先頭に見学開始。冠の藤はきっと藤原由来かな。
伊勢神宮ほどの威圧感というか神格化された雰囲気は感じられない。
あそこは別格なんだろうけど。
要所で参拝を促されるんだけど、宗教には興味がないのでただ立ち尽くしていた。同行の皆様を観察すると、賽銭を投入する人が半分。賽銭なしの参拝が9割といったところ。
ここも大量の中国人が。
大きな駐車場があったけど、大量のバスと大量の中国人で埋め尽くされていた。
この光景を見て思ったんだけど、アジア系の人ってツアーが多いなって。
日本人もそうだけど。
農耕民族の血なのか団体行動を好むのかもしれない。
反対にアングロサクソン系の人って単独で行動しているように見受けられる人が多い気がする。
農耕民族vs狩猟民族の行動様式なのかも。
個人的には無駄に大きいと感じるんだけど、これだけの大きさのものを作ったということは、それだけ当時の疫病・飢饉などによる影響が大きかったのだろうかと感じる。
柱のくぐり抜けに順番待ちの列ができていた。中学生の時に誰かがやっていたのを見た気がしたけど、昔と違うのは列をなしている人の9割が中国人だということ。
ありがたいことです。
正倉院
それにしても暑すぎる。首筋がヒリヒリする。焼けた背中は一部水膨れとなってる。
それでも自転車に乗って受ける風はとても心地がよい。内陸のせい?なのか空気が乾燥している。
中学生の時にみた正倉院。全然記憶がなかった。覚えていることは”校倉造り”と”ねずみ返し”の言葉と構造だけ。
千年以上もの時間が経過しているにも関わらず、現存していることはその技術はすばらしいものだったのかと。今は中は空だろうけど、宝物も現存しているのだから、その構造と機能もすごかったことを思わせる。
今の技術で千年もの時間耐えられる構造物ってできるんだろうか?
まぁ確かめる術はないけど。
ここまでで結構時間が経過していたので戻ることにした。
お腹も空いてきたので、坂を下りながら何を食べようか考える。
近鉄奈良駅近くまで戻ってきたので、商店街を散策。天理ラーメンに心惹かれる。
「前回も食べられなかったんだよなぁ」
「今回も食べられそうにないなぁ」
自問自答を繰り返しながらあきらめる。
JRの駅の近くに戻る。
”かすうどん”が目に入る。
「たしか関西・・大阪あたりのソウルフードだったよなぁ?」
スマホで検索。やっぱりそうらしい。
奈良名物ではないけど”かすうどん”に決定。店内へ。
エアコンが効いていて気持ちが良い。
冷たい水が命の水に感じられる。
メニューを見るとハーフサイズがあったので、それをオーダーした。
そもそも”かすうどん”って何だと思いメニューをよく見ると、ホルモンを揚げて油を抜いたものらしい。
たぬきうどんの天かすがタンパク質バージョンになったものかと。
なかなかおいしい。
油が強めなので、ネギのトッピングを足した方がよりおいしく感じられるかも。胃の容量が許せば、生卵と白飯も併せたいところ。
一息ついて店を出る。自転車のサドルがやけどしそうなぐらい熱くなっている。
自転車を返却。車に戻る。
高架下の駐車場にしておいてよかったと心から思う。
平城京跡へ
今回はどうしても平城京跡に行ってみたかったので車で移動。
地図で見ると広大な土地があって公園のようになっているかのような印象を受ける。
ナビをセットするまでもないけど、”平城宮”でセットして出発したところ、ナビが案内したところは跡地の北側で塀の向こうに大きな建物があるあたりだった。
到着したののの車を停められるようなところが見当たらない。
そろそろと進むと門を発見。警備のおじさまがいたけど入っていけそうなのでハンドルを切った。
何も言われず入場できた。右手に駐車場らしきものがあり数台駐車されていたのでそれに倣う。
車を降りるとものすごい熱気。見学をしようとする意思が試されているかのよう。
近くの案内看板を見ると”平城宮跡資料館”の文字が。とりあえずそこに避難を兼ねて入館。
自動ドアの先は天国のような涼しさがあった。
入館料は無料のようでありがたい。けど、これだけの施設の維持管理はどこからお金が?とも思ったけど、入館料で賄いきれるほどのものでもないし、この潔さが好印象。
入館すると目の前には数人のおじさま&おばさまが、久しぶりの獲物を見つけたかのように寄ってくる。
「こんにちは。こちらが施設の案内になりますのでお持ちください。それと・・・」
パンフ2枚と付近の案内図を表したペーパー1枚を渡された。それを受け取り奥へ進もうとすると何か話しながらついてくる。どうやら案内をしたいらしい。
基本的にほっといて欲しいワタシと案内したいらしいオバちゃまのせめぎ合いがつづいたが、根負けしたワタシは説明を受けることに。
「奈良駅のあたりから春日大社あたりまで上り坂が続いているでしょ?あれは天皇を上から見下ろすために藤原が埋め立てたものなのよ」
人の話は聞くものだと思った。この一言でこのオバちゃんの言葉に対して耳のシャッターが開いた。こういう年号の記憶とか知識としての歴史でなく、歴史が生まれた背景を知識として知ることは興味がある。家に帰ったら奈良時代のことを少し調べてみようと思う。
資料館では夏休みの自由研究が目的なのか、親に連れられた小学生を何人か見かけた。また、所長?なのか当時の官吏のコスプレをした人が、当時の生活や仕事について話をしていた。この人の話がメチャクチャヘタで途中で退散。外へ。
案内してくれたオバちゃんが「大極殿へ行ってみてくださいね」とのことだったので、向かってみる。
この平城宮跡はとても広く、案内図をみると資料館から大極殿まですぐなのだけれど、歩くと10分ほどあるらしい。暑くて気が遠くなりそうだったけど、何もないところにドカンと建っているものなので目立つし、きっと重要な施設なのかと思い向かった。
パンフレットによれば大極殿は儀式などに使われたものらしく、まぁ権威の象徴みたいなものなのかと。
やっと到着して施設へ。
資料館的な展示があるのかと思ったらそうでもなく、見晴らしのよさそうなところまで登れるようにもなっていなかった。すこし肩透かしを受けた気がしたけど、玉座のあたりまできて、平城宮跡全体が見渡せるところに立った時に、何故大極殿がここにあって、平城宮をここに定めたかが分かった気がした。ボキャブラリの不足を嘆きたくもなるけど、宮全体を一望できるこの場所は、当時の天皇が感じたであろう思いの一端を共有することができたかのような気分になることができた。
チョットだけ1300年前にトリップ。
きみごろも
さて、帰ろう。
とはならず、次の目的地へ。
昨日、奈良の名物やB級グルメ系の検索をしていたときに、”きみごろも”なるものがあることを知った。
「これは食べてみねば!」と思ったものの、駅などで売っているものではないらしい。
つまりネット上でこれだけヒットするにもかかわらず、奈良の駅で購入できないということは、地元の人がおすすめするものだと判断できるということ。
「行ってみよう!」となった。
宇陀というところにあるらしい。
地図で見ると結構遠い。40~50kmありそう。高速もない。チョット心が折れそうになったけど、ナビをセット。出発する。この時点で既に15時近い。
山越えのような道をナビが指示する。こんな山の中に店なんてあるの?と思わせるような道が続いた。
なんとか「松月堂」に到着。店もまだ開いていた。
車を店の前に停めて、きみごろもを4つ購入。なぜ4つかは自分でもわからない。
早速いただいてみる。
軽い。非常に軽い。メレンゲをうまく使っているらしい。
食感はなんとも形容しづらく、個人的には初めて口にした食感だった。
まぁフワフワとでも言えば伝わるのかな。
味の方は「う~ん」
正直評価しづらい。
平城宮から来たけど、往復100kmをこのためだけに来るのはチョットつらいかもしれない。といった感じかな。
ただ、ここに来なければ食べられないということに対する価値はあると思う。
道の駅大宇陀へ。土産物を物色。
吉野が近いらしく葛関係のものが多い。
ワタシが知っているくず餅とは違う感じがしたので、1つ購入してみた。
さて、ここに来る途中に大宇陀温泉なる看板を発見したので、寄ってみることにする。
まだ帰らないのかと、自分でも思う。
あきのの湯
道の駅から5分ほどで到着。
こんな山の中の施設なのであまり期待をしていなかったんだけど、結構立派な施設。期待が膨らむ。
お湯はアルカリが強いらしく、肌がツルっとするお湯だった。
まだ日焼け跡は痛いけど、日に日に良くなっている感じはする。
露天風呂に浸かりながらこの1週間を振り返ってみた。
あっという間だったけど、なんだかんだで色々あったなぁ。
1週間まるまる放浪したのって久しぶりだったので、とても楽しかった。ただあまり無理が出来なくなってきたよなと感じたのも事実かな。
ゆったりした気分で風呂から上がり、中庭らしきところで夕涼み。
とても風が気持ちが良い。
たぶんアスファルトの面積が少ないから昼間暑くても夕方には心地よい気温になるのかと思う。
ハンモックがあったので試してみたいなと思ったところで、係りの人が片づけに来てしまった。
チョット残念だったけど、またどこかの機会で試してみよう。
そう、そもそもこの温泉にはまた来るような気がするし。
さて、いよいよ帰りますか。
この時点で19時30分。