『読書の価値』を読んでみた

この本、気を付けないといきなり噴き出す可能性があるので、特に電車の中などで読むときは注意が必要です。

著者の独特の表現に、ファンならばまず間違いなくやられます。

 

この手の本って、たいがいHowToだったりすのるだけど、「そんな本書くかな?」と思ってたら、一部そんな表記もあるけど全般的にはエッセイですね。

そして、ところどころにちりばめられている笑いが光ります。

 

 

本を読む人ってそんなに少ないかなぁ?って思ってた。

電車に乗ると、ほとんどの人がスマホをのぞいているけど、それでも視界の中には一人二人は見かけるから。

そこで、なんとなくとある自治体の図書館の利用状況を調べてみたら、一年間のユニークな利用者は、およそ人口の1/5だった。

そして、年間の貸し出し数は利用者数の50倍もあるので、おそらくヘビーユーザーが相当数回転していると考えると、日常的に図書館を利用している人ってかなり少ないのかな?。

50倍の中には雑誌や視聴覚資料を含むので、書籍でとらえれば利用される本はもっと少なくなるはずだから、一般的な市民が図書館で本を借りる数を平均すると、年間では小数点以下の点数になることは想像できるので、著者の指摘する数値はそのとおりなのかも知れない。

 

この間、ある出版社が図書館に文庫本の貸し出しを制限して欲しい旨の主張があって、ニュースになっていた。

今までも、図書館による資料の貸し出しが、著者の利益に影響しているといった議論があったけど、これが出版界から出てくるあたりは、かなり厳しい状況におかれていることは想像できる。

コンビニにいっても雑誌コーナーがとても縮小していて、これも業界の厳しさを表しているはず。

 

個人的には業界がどうなろうとどうでもいいのだけど、コンテンツを提供してくれる著者が減る可能性があることと、そのリンクが切れてしまうのは困るなというのが印象。

 

情勢の変化とともに歪みが生じれば、アービトラージを狙って新たなサービスが生まれてくるのだろうけど、時代の変化に取り残され気味の出版界と完全に取り残されているであろう図書館界は、この先どうなるのかなって、そんなことを考えた一冊だった。