『天空の矢はどこへ?』を読んでみた

小説という形をとっているけど、エッセイとして読むと非常に面白いな。と、言うのが第一印象だった。

 

人という概念を、予測される未来の環境から捉えた作品とでも言えば良いのかな。

うまく言えないけど。

 

ワタシにとって人間とは(そんな大上段に振りかぶる必要はないのだけど)、生物の一種であって、遺伝子が未来へつながれていくための媒体の一つだと思ってる。

 

なので、人間が生物界の頂点だとか、そんな認識は全くなくて、この本に出てくる

「上」の概念は人間特有のものだし、人間のアイデンティティのひとつと言っても過言ではないと感じている。

 

遺伝子からみれば、人間を含めた有機体って、ただの媒体に過ぎないのだから、人間が言うところの「上」の概念を持ち出すならば、遺伝子は人間より「上」ということだよね。

 

そう考えると、人間がよく議論(議論なのかな?)する題材の「愛」とか「正義」とかって、まったく意味をなさないものだし、上である遺伝子からみたら、滑稽な動き(状態?)なんだろうなって。

 

 

そうなのよ。

個人とか社会とかの概念って、人間が作り上げた幻想に過ぎないのだから、そこにとらわれずに自由にすればいいのさ。

すべての行動は、結局のところ滑稽なのさ。

 

 

とは言いながら、社会の枠にとらわれてしまうのも、人間としてのアイデンティティの一つだよね。

そうした認識を持ってしまうのも、遺伝子の仕業なのだけど。

 

 

なんて、ことを考えてしまった一冊だった。