『勇敢な日本経済論』を読んでみた

タイトルに惹かれて手にした本だったけど、読んでみてタイトルと内容がどのようにリンクしているのかは理解できなかったのは私だけ?

 

高橋洋一さんと山口正洋さんの共著だが、山口正洋さんはこの本を知るまで存じ上げなかった。

 

高橋洋一さんの主張は、他の著書でも述べられているとおりで、この本だからこその新しさは感じることはできなかった。本書の内容についても対談形式となっていることもあり、正反対の意見のぶつけ合いはなく、どちらかと言えばお互いの意見を補完し合う内容だったよう。

 

 

個人的にだけど、国の主導による地方の活性化って、まったくもって無意味だと思っていて、この点については著者の2人も同じ主張っだったことが少しだけ嬉しかった。まぁこの2人は、どこかに依存して生きていく必要のない人達なので、言いたいことが言えるのだろうけど、同じ感覚を持った人がいることが分かって救われた気分。

 

 

定義できる正しさなんてものはないんだろうけど、この本の主張することってたぶん正しくて、端的に現状を表している気がした。

まぁ既得権益者は猛烈に反発するだろうけど。

ある意味リトマス試験紙代わりになるのかな。

テレビ局の行方(フジテレビ社長交代に思う)

最近のテレビを見ていて思うことが、「ネットの動画を使う番組増えたなぁ」ということ。

確かに、「ネットではこんな面白い動画がありますよ」といったリサーチ結果の紹介という側面があるのだろうけど、本来の面白いもしくは興味深い番組の制作能力が無くなってきたのかなと感じる。または、能力はあっても製作経費がないのか。

旅番組や料理番組を見てて特に感じるのが「番組自体が広告じゃないの?」ということ。そもそも民放はCMの販売で成り立っているのだろうけれど、番組で紹介される宿泊施設などから紹介料?を取って番組を作っているのではと思われる番組も見かける。

また、経済番組などでよく見かけるコメンテータも、所属会社のポジショントークではと思わせる発言をしているような気がする。そもそも経済の行方なんて誰にも分からないはずなのに、未来に対するコメントを求める方にも無理があるとは思うけど。

こんなことをフト感じたのはフジテレビの社長の交代というニュースを見たから。

数年前にフジテレビと堀江貴文さんの戦いがあったけど、今から思えばあの時が一つの転換点だったなって思う。もっと言えばテレビ局は転換点にしなければならなかったかと。

タラレバ言っても仕方ないけど、あの時から堀江さんがテレビ放送に対して何らかの影響力を発揮していれば、今の放送業界もかなり違っていたのではないのかなと思う。

既得権益保護の代表みたいな業界だから新しいメディアを受け入れられなかったのは分かるけど、最近のコンテンツの貧弱さには目を覆いたくなるばかりだし。

そう言えばあの時にフジテレビに手を貸したSBIグループは今の現状をどう感じているのだろう。今回のこのニュースに対してどこかのメディアが取材してくれないかなぁ?自分の首をしめるような取材はしないか?

 

そうそう、全然タイトルと関係ないけどNHKが受信料取ってバラエティ番組をやるのが個人的には納得できない。

『経済大変動』を読んでみた

 伊藤元重さんの著書は、私のような一般人でも分かるように言葉を選んでくれていらっしゃるのでとても読みやすく比較的理解も容易なため、書店で見かけると購入する機会が多い。

基本的に現在の日本における経済政策のメインフレーム的な主張をされているので、現政権とも親和性が高いのかと(逆か?)。

 

書店で経済コーナのあたりに行くと危機感を煽るようなタイトルの本が目につくのだけど、現状の否定ばかりで対案的な主張がないものが多いためあまり手に取ることがなく素通りしてしまう。本来ならそういった書籍も読んでみて、自分なりの糧とした方がいいのかもしれないけど。

 

読んでみて思ったのが、技術や学術は確実に進歩していくだろうけど、新しい軋轢や問題が生まれることで衰退する部分もあるということ。いつの時代もうねりがあって、そのうねりにうまく対応していく知力・能力を持っていればチャンスを掴めるのかなって。

恐らくこの本は、そのうねりの振幅が大きくなる可能性があるよってことを伝えようとしてくれているものと思った。うねりが大きいってことはチャンスも大きいはず?

『虐殺器官』を読んでみた

先日の飲み会で、表現の限界とか言葉の虚しさとか、そんな話題の一角にSFに関する話題に移りかけたときに、ツレの紹介で出会った本だった。

伊藤計劃さんのことはそれまで全然知らない存在だった。興味を持ったのでその場で調べてみると既に他界されているとのこと。その原因が自分の置かれている状況と少しだけリンクしていたことから心惹かれてアマゾンに発注。

SF小説との分類をされているようだが、個人的にはエッセイに近いような感覚を覚えた。日ごろから自身が考えていた思考を表したとするならば、どちらも本質的な差異はないかもしれない。純粋に文学を志向した作品とは感じられ無かった。

 

印象深かった部分は多々あるが、もっとも強かったのはキャラクターが発したセリフの中で「仕事とは宗教~」という表現に出会ったことだった。この一文には唸らされた。

まだ働いていたころ、どこの会社にでもあったであろう仕事談議が、私の周りでもアフター5の時間を中心に存在した。個人的には仕事なんてメシを食うための道具としか考えていなかった私はあらゆる意見に対して「なるほどね」と答えてきたが、基本ノンポリだった(やや誤用)ため、アツク語る皆様のことを「みんな真面目だなぁ」と捉えていた。様々な意見を主張し合うその世界は、今から思えば皆さん自分の宗教観を戦わせていたのかと納得できる。基本的に自分の意見を主張するだけで他者の意見との統合を目指さないその姿勢は、現在入手できる情報からうかがい知ることのできる世界との差がないように感じた。

本書のストーリーとは関係ないところで惹かれたが、内容はとても面白かったので他作も読んでみようと思う。

『すべての教育は「洗脳」である』を読んでみた

電車に乗るのに本を持ってくるのを忘れたので、たまたま見つけた駅構内の本屋に立ち寄ってみた。

物色していると何やら刺激的なタイトルが目につき、手にしてみると堀江貴文さんの著作だった。

過去に何冊か堀江さんの本は読んだことがあり、面白かったので購入を決定。

読んでみて感じたことを何点か忘備録として残してみる。

 

1.国の体制を批判なり指摘することで、また逮捕されるなんてことはないのかなぁなんて他人事ながら心配してしまった。タイトルの根拠としての論理展開は見事だけれど、これって多くの人が「思っていても口にしないこと」だったりして、その辺の歯に衣着せぬ物言いに憧れを感じる。きっと堀江さんにしてみれば危機感があって、誰かが言わなければという使命を感じているのかもしれないけれど、すごいなぁと感嘆しきり。内容的にはタイトルに関する論考から、読者への応援歌に移っていくので、タイトルのインパクトは書籍を売るためのものかとも感じた。

 

2.一番感じたことは堀江さんにとって所属意識が希薄もしくは無いということ。恐らくグループに入ることよりグループを作るタイプなのかな。たぶん何かにおもねるなんてことはないんだろうなぁと、この点も憧れる。

 

3.本書の主旨としては、独立した個人へのなり方の手引き的なところがあって、これは現在進められている「働き方改革」の一部に通じるところがあると思う。働き方の多様性の確保について、個人的には非常に同意しているのだけれど、これって所属意識の低下を誘うものであって、本書が指摘している国が求める国民像とは違っているのではと気づかされた。まぁ厚労省文科省で分野が違うからいいのか。